とある構造設計者の日記

気ままに想うことをブログに綴る

構造設計事務所における初期の仕事について

構造設計の肝はモデル化

最初に担当したプロジェクトでは6階建て壁式ラーメン構造でした。1~2か月の間で設計荷重表、軸力地震力の算定、壁量計算、耐震構面のモデル化などを勉強させてもらいました。この中で手こずったのは構面のモデル化です。モデル化は構造設計で最も重要であり、今でも自分の課題としているところです。力の流れを表現するのがモデル化であり、モデル化を見ることでその設計者の実力がわかります。

平面解析プログラムでは構面ごとに分担せん断力・応力が出力されるため、各構面のモデルを検証することができます。この構面は壁が多いから分担せん断力が大きいな、この部材に生じる応力が変だななど、力の流れを意識しそのモデルが実状に近いものか判断することができます。

構造設計は基本的な力学を理解することが重要

構造設計業務を6か月経験させてもらい感じたことはそこまで高度な構造力学の知識は必要ないということです。ただ、基本的な構造力学は完全に理解している必要があります。もっといえば基本的な物理学を理解している必要があります。私は力学に関しては学生時代にみっちり勉強していたこともあり、現状そこまで苦労はしていません。ただ、平面解析については勉強不足を感じていたため、入社前に勉強しました。平面解析プログラムでは剛性マトリックスを理解する必要があります。基本的には力と変形の関係が理解できていれば剛性マトリックスも問題なく理解できると思います。平面解析プログラムのソースコードを全て理解する必要するは無いと思いますが、平面解析プログラム内で一体何が行われているか理解する必要があると思います。平面解析プログラムでは各構面の剛性によって層せん断力が振り分けられるため、力の流れをつかむには剛性マトリックスの理解も必要になってくると思います。

構造力学の参考書

私が構造力学を勉強して役に立った参考書を紹介していきます。以下の参考書を理解していれば構造設計に必要な最低限の力学を習得することができると思います。

建築学テキスト 建築構造力学〈1〉静定構造力学を学ぶ

建築学テキスト 建築構造力学〈2〉静定構造力学を学ぶ

こちらの参考書は構造設計に必要な構造力学がわかりやすく解説されています。内容としては学部2~3年レベルですので、基本を押さえるにはもってこいの参考書です。私も大学院入試対策としてこちらの参考書を徹底的に勉強しました。

 

建築の力学―弾性論とその応用

こちらの参考書は内容は少し難しいですが、解説がとても丁寧なのでわかりやすいです。レベルとしては大学~大学院レベルだと思います。構造設計を志す人はこの程度の構造力学の知識があればいいのではないでしょうか。

 

マトリックス法による構造解析

こちらの参考書を理解することができれば、構造計算プログラム内でどのような計算が行われているかがわかるようになると思います。